Home > 基礎知識 > 相続時精算課税 > 相続時精算課税制度(特例)の概要
gf0110093883w

相続時精算課税制度(特例)の概要



相続時精算課税制度の説明(特例)

平成24年に住宅資金贈与を受ける場合には、贈与税非課税制度をまずは適用して下さい。

贈与税非課税制度についてはこちらをご確認下さい。

相続時精算課税制度とは、65歳以上の両親から20歳以上への子供への贈与をした際に、贈与時には2‚500万円を超える贈与について一旦贈与税を課税しておいて、その後相続があった時に前払した贈与税を精算する制度をいいます。(原則)

ところが、自己の居住の用に供する住宅用家屋の新築若しくは取得又は増改築等のための金銭の贈与を受けた場合には、贈与者(両親)が65歳未満であっても相続時精算課税の選択をすることができます。(特例)
適用期限は平成27年12月31日までになります。(特例)
年齢の要件については、平成24年の税制改正大綱にて延長されました。1,000万円の資金援助非課税枠の拡大については平成21年12月31日で廃止となっております。

相続時精算課税制度を選択するには、贈与を受けた年(平成24年)の贈与税の申告期間内(平成25年2月1日から平成25年3月15日)までに「相続時精算課税選択届出書」と贈与税の申告書を、贈与を受けた人(子)の住所地の税務署に提出しなければなりません。
なお、一旦相続時精算課税制度を選択してしまうと、それ以後にその者から贈与を受けた資産については、全て贈与税の申告をしなければならなくなりますので、選択をする際には、細心の注意を払う必要があります。
相続時精算課税の原則(限度額:2500万円)と特例(限度額:2500万円)のどちらを選択するかは、贈与をしてくれた方が65歳未満であれば特例を選択し、65歳以上であれば原則を選択することになります。

相続時精算課税制度については、平成23年の税制改正で孫・祖父母間でも適用が受けられるような改正が予定されていましたが、この改正は法案が成立しませんでした。また原則の年齢要件の65歳も60歳に緩和される予定でしたが、こちらの法案も成立していません。

相続時精算課税制度に関する疑問、質問はこちらのQ&A集をご覧下さい。

日本全国対応の相続時精算課税に関する確定申告のご依頼はこちらから

それでは、相続時精算課税制度(特例)について、詳しくみていきましょう。平成24年に贈与を受けた場合の要件となります。

1適用要件

a)贈与者(資産を贈与した人)の要件
贈与をした時において受贈者の親であること。

b)受贈者等(贈与された人)の要件
(イ)贈与を受けた時に、住所が日本国内にあること
日本国内に住所を有しない人で、次のいずれにも該当する場合も含まれます。
(A)贈与を受けた時に、日本国籍を有していること。
(B)受贈者又は贈与者がその贈与の日前5年以内に日本国内に住所を有したことがあること。
(ロ)贈与を受けた時に、贈与者の直系卑属である推定相続人であること。
(ハ)贈与を受けた年の1月1日において20歳以上であること。
(二)平成25年3月15日までに住宅用の家屋の新築若しくは取得又は増改築等をし、その家屋に居住すること又は平成25年12月31日までに遅滞なくその家屋に居住する見込みであること。
(ホ)贈与を受けた金銭の全額を住宅用の家屋の新築若しくは取得の対価又は増改築等の費用に充てること
(ト)新築若しくは取得又は増改築等をした住宅用の家屋は、自己の配偶者、親族など一定の特別の関係のある人から新築若しくは取得又は増改築等したものではないこと
(チ)新築若しくは取得又は増改築等をした住宅用の家屋が日本国内にあること。
(リ)新築若しくは取得又は増改築等をした住宅用の家屋の登記簿上の床面積(区分所有建物の場合はその専有部分の床面積)が50平方メートル以上で、かつ、その家屋の床面積の2分の1以上に相当する部分が受贈者の居住の用に供されるものであること。
(ヌ)その特例に係る贈与者から贈与(平成15年1月1日以降の贈与に限ります。)を受けた財産についてこの特例の適用をうけたことがないこと。

b)新築又は取得の場合の要件

(イ)建築後使用されたことのないもの
(ロ)建築後使用されたことがあるもので、その取得の日前20年以内(耐火建築物の場合は25年以内)に建築されたもの
(ハ)建築後使用されたことのあるもので、地震に対する安全性に係る基準に適合するものとして「耐震基準適合証明書」又は「住宅性能評価書の写し」により証明されたもの

c)増改築等の場合の要件

(イ)増改築等の工事が、自己が所有し、かつ、居住している家屋に対して行ったもので、一定の工事に該当することにつき、「確認済証」の写し、「検査済証」の写し又は「増改築等工事証明書」により証明されたものであること。
(ロ)増改築等の工事が、その工事に要した費用の額の100万以上のものであること。
増改築等の工事の部分に居住の用以外の用に供される部分がある場合には、増改築等の工事に要した費用の額の2分の1以上が、自己の居住の用に供される部分の工事に充てられなければなりません。

d)適用手続

贈与税の申告期間内に「相続時精算課税選択届出書」を「贈与税の申告書第一表」「贈与税の申告書第二表」「一定の添付書類」とともに受贈者の住所地の所轄税務署長に提出しなければなりません。提出がないときは、相続時精算課税の適用を受けることができなくなり、原則的な贈与税の課税方法(暦年課税)が適用されます。

上記により、相続時精算課税選択届出書を提出した人を「相続時精算課税適用者」、その届出書に係る贈与をした人を「特定贈与者」といいます。

(注)相続時精算課税は、贈与者ごとに選択することができます。相続時精算課税選択届出書は、既に平成21年分以前の贈与税の申告において相続時精算課税の適用を受けている贈与者からの贈与の場合については、再度提出する必要はありません。その贈与者以外の人から贈与を受ける財産について、相続時精算課税の適用を受けようとする場合は、贈与税の申告期間内に、新たに届出書等を提出する必要があります。
e)計算方法
特定贈与者ごとに、1年間に贈与を受けた相続時精算課税適用財産の価額の合計額(課税価格)から相続時精算課税の特別控除額(限度額:2‚500万円)を控除した金額に20%の税率を乗じて贈与税額を計算します。

f)添付書類(共通)
相続時精算課税の適用を新たに受ける場合には、相続時精算課税選択届出書に次に掲げる書類を添付しなければなりません。

(イ)受贈者の戸籍謄本又は抄本その他の書類で、氏名、生年月日、受贈者が贈与者の推定相続人である(親子である)ことを証する書類
(ロ)受贈者の戸籍の附表の写しその他の書類で、受贈者が20歳に達した時以後の住所又は居所を証する書類
(注)受贈者の平成15年1月1日以後の住所又は居所を証する書類でも差し支えありません。法律上は(ロ)が要件となっていますが、それが現実問題として難しい場合は、平成15年1月1日以後の住所又は居所を証する書類の添付で認められます。(相続税基本通達21の9-5)
(ハ)贈与者の住民票の写しその他の書類(贈与者の戸籍の附表の写しなど)で、贈与者の氏名、生年月日、贈与者の平成15年1月1日以後の住所又は居所を証する書類

g)添付書類(平成25年3月15日の状況により異なります)

(イ)平成25年3月15日までに住宅用家屋の新築又は取得をして居住した人
(A)住宅用家屋(その敷地の用に供されている土地等を取得する場合は、その土地等を含みます。)を配偶者、親族など特別の関係がある人以外の人から取得したことを明らかにする書類
(注)上記の内容が登記事項証明書等で明らかになる場合は、登記事項証明書等で差し支えありません。
(B)新築又は取得をした住宅用家屋に関する登記事項証明書(取得した住宅用家屋が建築後使用されたことのある家屋で、登記事項証明書によって床面積が明らかでないときには、これを明らかにする書類も必要です。)
(注)贈与を受けた住宅取得等のための金銭によりその住宅用家屋の新築又は取得とともにその敷地の用に供されている土地等を取得するときには、その土地等に関する登記事項証明書も併せて提出します。
(C)取得した家屋が建築後使用されたことのあるもの(中古)で、地震に対する安全性に係る基準に適合するものとして「耐震基準適合証明書」又は「住宅性能評価書の写し」により証明されたものに該当する場合には、次に掲げるいずれかの書類
(a)耐震基準適合証明書
その家屋の取得の日前2年以内にその証明のための家屋の調査が終了したものに限ります。
(b)住宅性能評価書の写し
その家屋の取得の日前2年以内に評価されたもので、耐震等級(構造躯体の倒壊等防止)に係る評価が等級1、等級2又は等級3であるものに限ります。
(D)受贈者の住民票の写し
新築又は取得した住宅用家屋に居住した日以後に作成されたもので、その住宅用家屋の所在場所が本人の住所として記載されているものに限ります。

(ロ)平成25年3月15日までに住宅用家屋の新築又は取得をしたが、居住していない人
(A)住宅用家屋(その敷地の用に供されている土地等を取得する場合は、その土地等を含みます。)を配偶者、親族など特別の関係がある人以外の人から取得したことを明らかにする書類
(注)上記の内容が登記事項証明書等で明らかになる場合は、登記事項証明書等で差し支えありません。
(B)新築又は取得をした住宅用家屋に関する登記事項証明書(取得した住宅用家屋が建築後使用されたことのある家屋で、登記事項証明書によって床面積が明らかでないときには、これを明らかにする書類も必要です。)
(注)贈与を受けた住宅取得等のための金銭によりその住宅用家屋の新築又は取得とともにその敷地の用に供されている土地等を取得するときには、その土地等に関する登記事項証明書も併せて提出します。
(C)取得した家屋が建築後使用されたことのあるもの(中古)で、地震に対する安全性に係る基準に適合するものとして「耐震基準適合証明書」又は「住宅性能評価書の写し」により証明されたものに該当する場合には、次に掲げるいずれかの書類
(a)耐震基準適合証明書
その家屋の取得の日前2年以内にその証明のための家屋の調査が終了したものに限ります。
(b)住宅性能評価書の写し
その家屋の取得の日前2年以内に評価されたもので、耐震等級(構造躯体の倒壊等防止)に係る評価が等級1、等級2又は等級3であるものに限ります。
(D)住宅用家屋の新築又は取得後直ちに居住の用に供することができない事情及び居住の用に供する予定時期を記載した書類
(E)住宅用家屋を遅滞なく居住の用に供すること及び居住の用に供したときには遅滞なく住民票の写し(その家屋に居住した日以後に作成されたものに限ります。)を所轄税務署長に提出することを約する書類
(注)住宅用家屋を居住の用に供したときには、遅滞なく住民票の写しを提出します。

(ハ)平成25年3月15日までに住宅用家屋の新築に係る工事が完了していない人
(A)住宅用家屋(その敷地の用に供されている土地等を取得する場合は、その土地等を含みます。)を配偶者、親族など特別の関係がある人以外の人から取得したことを明らかにする書類
(注)上記の内容が登記事項証明書等で明らかになる場合は、登記事項証明書等で差し支えありません。
(B)住宅用家屋の新築の工事の請負契約書その他の書類でその家屋が住宅用家屋に該当することを明らかにするもの又はその写し
(C)住宅用家屋の新築工事の状態が屋根(屋根の骨組みを含みます。)を有し、土地に定着した建造物と認められる時以後の状態にあることを証するこの工事を請け負った建設業者等の書類で、この工事の完了予定年月日の記載があるもの
(D)住宅用家屋を遅滞なく居住の用に供すること及び居住の用に供したときは遅滞なくその家屋に関する登記事項証明書及び住民票の写し(その家屋に居住した日以後に作成されたものに限ります。)を所轄税務署長に提出することを約する書類で、居住の用に供する予定時期の記載のあるもの
(注)住宅用家屋を居住の用に供したときには、遅滞なく登記事項証明書及び住民票の写しを提出します。

(ニ)平成25年3月15日までに住宅用の家屋を増改築等した人
(A)受贈者の住民票の写し(増改築等のための金銭の贈与を受けた日以後に作成されたものに限ります。)
(B)増改築等とともに当該増改築等に係る家屋の敷地の用に供されることとなる土地等を取得する場合には、その土地等を配偶者、親族など特別の関係がある人以外の人から取得したことを明らかにする書類
(C)居住の用に供している家屋の増改築等に係る工事が、次に掲げるいずれかの工事に該当するものであることを証する書類
(a)その工事が増築、改築、建築基準法第2条第14号に規定する大規模の修繕又は同条第15号に規定する大規模の模様替である場合には、建築主事から交付を受けた建築基準法第7条第5項に規定する検査済証の写し又は建築士から交付を受けた増改築等工事証明書
(b)その工事が区分所有建物について行う次に掲げるいずれかの修繕又は模様替である場合には、建築士から交付を受けた増改築等工事証明書
1.その区分所有する部分の主要構造部である床及び最下階の床の過半又は主要構造部である階段の過半について行う修繕又は模様替
2.その区分所有する部分の間仕切壁の室内に面する部分の過半について行う修繕又は模様替(その間仕切壁の一部について位置の変更を伴うものに限ります。)
3.その区分所有する部分の主要構造部である壁の室内に面する部分の過半について行う修繕又は模様替(その修繕又は模様替に係る壁の過半について遮音又は熱の損失の防止のための性能を向上させるものに限ります。)
(c)その工事が家屋(区分所有建物について贈与を受けた人が区分所有する部分に限ります。)のうち居室、調理室、浴室、便所、洗面所、納戸、玄関、廊下の一室の床又は壁の全部について行う修繕又は模様替である場合には、建築士から交付を受けた増改築等工事証明書
(d)その工事が家屋について行う次の規定又は基準に適合させるための修繕又は模様替である場合には、建築士から交付を受けた増改築等工事証明書
(D)増改築等をした家屋(増改築等家屋といいます。)に関する登記事項証明書
ただし、その登記事項証明書により、その増改築等家屋が、戸建住宅で床面積が50㎡以上であること又はマンションでその区分所有する部分の床面積が50㎡以上であることが明らかでない場合には、それを明らかにする書類又はその写しの提出が必要です。
(注)贈与を受けた増改築等のための金銭によりその増改築等とともにその敷地の用に供されている土地等を取得する場合には、その土地等に関する登記事項証明書も併せて提出する必要があります。
(E)増改築等家屋の増改築等に係る工事の請負契約書その他の書類で、その増改築等した年月日並びにその増改築等に係る工事に要した費用の額及びその明細を明らかにするもの又はその写し

(ホ)平成25年3月15日までに住宅用の家屋の増改築等が完了していない人
(A)受贈者の住民票の写し(増改築等のための金銭の贈与を受けた日以後に作成されたものに限ります。)
(B)増改築等とともに当該増改築等に係る家屋の敷地の用に供されることとなる土地等を取得する場合には、その土地等を配偶者、親族など特別の関係がある人以外の人から取得したことを明らかにする書類
(C)工事の請負契約書その他の書類又はその写しで、増改築等をしている家屋が上記(ニ)の(D)に該当することとなることを明らかにするもの
(D)増改築等をしている家屋の増改築等に係る工事の状態が、増築又は改築部分の屋根(屋根の骨組みを含みます。)を有し、既存の家屋と一体となって土地に定着した建造物と認められる時以後の状態にあることを証するこの工事を請け負った建設業者等の書類で、この工事の完了予定年月日の記載があるもの
(E)増改築等に係る工事が完了したときは遅滞なく上記(二)の(C)から(E)までの書類を所轄税務署長に提出することを約する書類
(注)増改築等に係る工事が完了したときは遅滞なく上記(二)の(C)から(E)までの書類を提出します。

2.2年目以降の取扱い

相続時精算課税制度の特例は、住宅取得資金の贈与に限定して親の年齢条件を外すことができます。一旦相続時精算課税制度の適用を受けますと、以降その相続時精算課税制度の適用を受けた贈与者からの贈与については、全て相続時精算課税制度が適用されます。(年齢が65歳未満でも)

(例)初年度に父親から住宅取得資金として800万円の贈与を受け相続時精算課税制度の特例の適用を受け、2年目に父親から株式(時価2700万円)の贈与を受けた場合の贈与税の計算

2年目の贈与税額 (2700万円-(注)1‚700万円)×20%=200万円
(注)特別控除額は2‚500万円-800万円=1‚700万円

3.相続があった場合の取扱い

相続があった場合には、相続時精算課税適用財産の価額(贈与時の時価)と相続又は遺贈を受けた財産の価額(相続時の時価)の合計額を基に計算した相続税額から、既に相続時精算課税適用時に支払ったその贈与税相当額を控除した金額をもって納付すべき相続税額とします。(その控除により控除しきれない金額がある場合には、相続税の申告をすることにより還付を受けることができます。)
相続時精算課税制度は、将来相続があった時に相続税が課税される方の場合には、必ずしも相続税の節税にはなりませんので注意して下さい。
相続時精算課税の原則についてはこちらをご覧下さい。

毎月30名限定!無料レポート 「5つの相談事例から学ぶマイホームの税金」は・・・