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ニッセイ基礎研究所『~市況見通しは近年で最も楽観的 強まる二極化認識と中国回避姿勢~「第9回不動産市況アンケート」』結果発表


株式会社ニッセイ基礎研究所は、10月1日から12日にかけて、不動産分野の実務家・専門家に対し、毎年実施している不動産投資市況に関するアンケート(第9回)を行い、その結果を発表した。

これは、不動産・建設、金融・保険、仲介、不動産管理、不動産ファンド運用、格付、投資顧問・コンサルタントなどの業務に携わる177名を対象に電子メールにて実施したもので、98名から回答を得た(回収率55.4%)。

【アンケート結果】
●不動産投資市場の景況感
不動産投資市場(物件売買、新規開発、ファンド組成)全体の現在の景況感について聞いたところ、2008年以降初めて、「やや良い」(28.6%)との回答が「やや悪い」(28.6%)に並んだ。全体では「平常・普通」(38.8%)との回答が最も多くを占め、一方、「悪い」および「良い」の回答は少なかった。この数年は常に「悪い」と「やや悪い」が大半を占めていたが、今回はバランスのとれた市況感となった。
オフィス市場における空室率の高止まりなど、足元の賃貸市場は依然として芳しくないが、J-REITのIPOが4年半ぶりに再開した他、外資系運用会社によるファンド組成なども増加している。また、各投資家調査では期待利回りが横ばいから低下に変化しつつあり、このようなセンチメントの改善がアンケート結果に表れたといえる。

●投資対象としてのセクター選好
次に、今後の価格上昇や市場拡大が期待でき、魅力的と思われる投資対象(証券化商品含む)について聞いた。
最も支持の多かった「物流施設」(54.6%)が、昨年を更に上回った。インターネットショッピングや通信販売の拡大、各社の物流網見直しによる3PL市場の成長を背景に、高機能物流施設に対するニーズが高まっており、セクターとしての成長期待が表れたといえる。
その他では、「インフラ関連施設」(38.1%)の支持増加が目立った。欧米豪に比べ、国内インフラ投資市場は未整備といえるが、最近では、再生可能エネルギー施設のメガソーラーなどが投資対象として関心を集めている。
一方、昨年最も多くの支持を集めた「中国などアジアの不動産」(21.6%)の支持は半減し、中国回避姿勢が明確に表れた。ただし、中国以外のアジアや、円高を生かした欧米市場投資に注目する見方もある。

●中長期的に大きく進むと思われる変化
次に、今後中長期的にみて、日本の不動産市場において大きく進むと思われる変化について聞いたところ、回答者の8割が「不動産の選別や二極化」(79.8%)を選択した。
一方、昨年高い支持のあった「不動産の防災技術や省エネ技術の進歩(新築および既存ストックの改修における)」(17.7%)を選択する回答が大きく減少した。震災が発生した昨年、防災、省エネ意識が特に高まった反動といえるが、他方、防災、省エネ対応が進み、今後さらに大きな進展は見込みづらいとの見方も少なくないと思われる。
また、「東京一極集中の是正」(1.1%)を選択した回答はほとんどなかった。震災直後の昨年4月時点では、回答者の過半数が東京一極集中を懸念していたが、国内市場における東京の優位性はゆるがず、東京一極集中リスクをめぐる議論は収束したように思われる。

●防災性や省エネ性に優れた不動産への選好度
最後に、防災性(制震・免震構造、非常用電源、帰宅困難者対策、複数の交通アクセスなど)と省エネ・省電力性に特に優れた不動産に投資するとした場合、そうでない不動産と比べて期待利回りにどの程度のプレミアム(スプレッド:基準利回りからマイナスする)を考慮するかについて聞いた。「-0.3~-0.1%」(53.1%)とする回答が過半を占め、一方、「特に考慮しない」や「わからない」とする回答や、「-1.0%超」や「-1.0~-0.5%」と大幅なプレミアムを認識する回答が大きく減少した。
実際、防災性や省エネ・省電力性に特に優れた不動産の取引事例はほとんどないが、今回の結果から、大幅なプレミアムは難しいが若干のプレミアムは認めるという評価への収斂がみられる。-0.3~-0.1%の利回りプレミアムは収益価格では+数%~10%程度の影響となるため、今後の取引動向が注目される。


ニュースリンク先
http://www.nli-research.co.jp/report/real_estate_report/2012/fudo121019.pdf