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長谷工総合研究所『今後のマンション需要の考え方』需要動向分析


株式会社長谷工総合研究所は、2011年10月に公表された「国勢調査」(2010年実施)の確定値や国立社会保障・人口問題研究所の推計値、持家率、住宅着工戸数、中古住宅の成約件数などをもとに、首都圏と近畿圏における今後の住宅・マンションに対する潜在需要の考え方について、分析結果を発表した。

【人口・世帯の動向について】
●住宅に対する潜在需要は、長期的には人口と世帯の動向、特に、世帯数の増減に左右される。2011年10月に総務省統計局から公表された「国勢調査」(2010年実施)の確定値によると、2010年10月1日現在の首都圏(1都3県)の人口は約3,562万人、一般世帯数は約1,556万世帯、近畿圏(2府4県)での人口は約2,090万人、世帯数は約862万世帯となっている。
●家族類型別に世帯数をみると、単独世帯の占める割合が高まり、首都圏では1980年の25.4%から2010年には37.2%に、近畿圏でも1980年の20.1%から2010年には32.7%に高まっている。また、夫婦と子からなる世帯、いわゆるファミリー世帯の構成比は、首都圏では1980年の45.2%から2010年には28.5%に、近畿圏でも1980年の45.1%から29.2%にまで低下している。
●構成比でみるとファミリー世帯は大幅減となっているが、世帯数そのものをみると、首都圏では、1985年は約444万世帯、2000年は約447万世帯、2005年は約442万世帯、2010年は約443万世帯となっている。近畿圏では1985年の約277万世帯から2010年には約252万世帯に減少している。単独世帯や夫婦のみ世帯数の増加などによって、ファミリー世帯の構成比は低下しているものの、絶対数では大幅な減少とはなっていない。
●また、「国勢調査」をもとに、世帯主年齢別の持家率を算出すると、2010年は首都圏、近畿圏共に若年層で持家率が低下している。単独世帯の増加もあって、世帯数そのものが増加していることも背景にあるが、マンション価格の上昇などによる一次取得者層向けマンションの供給減によって、持家取得ができなかったことも背景にあると思われる。

【住宅・マンションの供給動向について】
●分譲マンションの供給減もあって、住宅取得に際し、マンションを選ぶ割合が低下している可能性もある。そこで、国勢調査をもとに2005~2010年における首都圏と近畿圏における持家ストックの増加数に占めるマンションの割合を算出した。その結果、首都圏では51.7%(2000~2005年は54.3%)、近畿圏では49.2%(同50.3%)となっている。2000~2005年と比較して若干低下したものの、50%程度で推移している。
●また、分譲戸建住宅や中古住宅の競合状況などについても検討を加えた。住宅着工戸数や公益財団法人東日本不動産流通機構の中古マンション・中古戸建住宅の成約件数の推移をみると、増加傾向にあるものの新築分譲マンションの減少分すべてを補うほどの増加とはなっていない。

【まとめ】
2008年以降の新築分譲マンションの大幅供給減もあって、マンションに対する需要不足を懸念する声もあるが、人口・世帯動向、分譲戸建住宅、中古住宅の動向などをみると、新築マンションに対する潜在需要が大幅に減少するという状況ではない。魅力ある大規模物件や一次取得者向け物件の供給増によって、潜在需要の顕在化を図っていくことが重要と思われる。


ニュースリンク先
http://www.haseko.co.jp/hc/information/upload_files/20120620.pdf

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